【保有銘柄】JFE(5411)で含み損▲23%…損切りか保有か、数字で徹底検証してみた

個別株分析

こんにちは。アランです。

今回はいつもの銘柄分析とは少し毛色が違います。分析対象は、私自身が保有してがっつり含み損を抱えている銘柄、JFEホールディングス(5411)です。

取得単価2,093円に対して、2026年6月12日終値は1,613円。下落率は約23%、金額にして▲48,000円の含み損です。正直、口座を開くたびに目を逸らしたくなる数字です。

しかし、目を逸らしていても含み損は消えません。今回は「損切りすべきか、保有を続けるべきか」を、感情を排して数字と確率で徹底的に検証します。同じように鉄鋼株や高配当株で含み損を抱えている方の判断材料になれば幸いです。

私のポジションの現状

まず、私のポジションを包み隠さず公開します。

項目 数値
保有株数 100株
取得単価 約2,093円
現在値(2026/6/12終値) 1,613円
含み損益 ▲48,000円(▲22.9%)
年間配当(会社予想80円) 8,000円
取得単価ベースの配当利回り 3.82%

株価は前日(6/11)に年初来安値1,573円を付けたばかり。本日は+2.5%反発して1,613円まで戻しましたが、傷が浅くなったとは言えません。買値の2,093円まで戻るには、ここからさらに+29.8%の上昇が必要です。23%下げた株が30%上げないと元に戻らない。下落の非対称性を、身銭を切って実感しています。

この記事の結論(先出し)

数字を検証した結果、私は「撤退ラインを明示した上で当面保有」を選びました。根拠はPER約6.8倍・PBR約0.39倍という指標面の割安さと、2027年3月期の純利益2.1倍予想。ただし弱気シナリオの撤退ラインを破ったら機械的に損切りします。詳細は本文で。

なぜここまで下がったのか:3つの要因

損切り判断の前に、まず「なぜ下がったのか」を正確に把握する必要があります。下落理由が一時的なものか構造的なものかで、取るべき行動は真逆になるからです。私は要因を3つに整理しました。

要因1:中国の過剰生産・安値輸出という構造問題

最大の要因はこれです。中国国内の不動産不況で鉄鋼需要が落ち込んでいるにもかかわらず、中国メーカーは生産量を大きく減らさず、余った安値鋼材をアジアへ大量輸出しています。これが国際市況を押し下げ、日本の高炉各社の利幅を直撃しています。

JFEの寺畑副社長も「中国の過剰生産、大量輸出によるバランスの崩れ、市況の低迷が世界各国地域に波及している」と認めており、日本製鉄に至っては決算資料で「世界の鉄鋼事業環境は未曾有の危機的な状況」とまで表現しました。業界トップ自らが「未曾有の危機」と言う環境です。これは個社の問題ではなく、高炉セクター全体の構造問題と捉えるべきでしょう。

要因2:2026年3月期の大幅減益

2026年5月8日に発表された2026年3月期決算は、次の通りでした。

項目 2026年3月期実績 前期比
売上収益 4兆5,392億円 ▲6.6%
事業利益 1,353億円 前期並み
経常利益 874億円 ▲39.4%
純利益 701億円 ▲23.6%

純利益は2期連続の減益です。前期(2025年3月期)も約53%減でしたから、ピークから見れば利益水準は大きく切り下がっています。事業利益がコスト削減で前期並みを確保した点は評価できますが、トップラインの弱さは隠せません。

唯一の救いは、直近の1〜3月期(4Q)単体で最終損益が92.7億円の黒字に浮上したこと(前年同期は82.3億円の赤字)。最悪期は2025年度の途中だった可能性を示唆するデータです。

要因3:減配(100円→80円)による高配当株マネーの流出

JFEは2026年3月期の年間配当を1株80円とし、前期の100円から20円の減配となりました。配当性向は72.5%まで上昇しており、利益水準に対して配当が重すぎた結果の調整です。

高配当株として買われていた銘柄が減配すると、インカム目的の投資家の売りが重なり、株価は二段で下がります。私の買値2,093円は、まさに「配当100円・利回り約4.8%」を前提にした水準でした。前提が崩れたのに保有し続けた。ここが私の反省点です。

2027年3月期は「純利益2.1倍」予想。その中身は?

ここからが本題です。会社側が示した2027年3月期の業績予想は、一転して強気な内容でした。

項目 2027年3月期予想 前期比
売上収益 4兆8,000億円 +5.7%
事業利益 2,150億円 +58.8%
純利益 1,500億円 +113.8%(2.1倍)
年間配当 80円(配当性向33.9%) 据え置き

増益の柱は鋼材販売価格の引き上げとコスト削減です。純利益の推移をグラフにすると、V字回復の絵になります。


JFE 純利益の推移(億円) 0
1,000 1,800

約917
25/3期

701
26/3期

1,500(予)
27/3期
※25/3期は26/3期実績と増減率から算出した概算値。27/3期は会社予想

ただし、この予想を鵜呑みにしてはいけません。注意点が2つあります。

  • 中東情勢の影響が未反映:会社側は2026年2月末から続く中東情勢の緊迫化について「合理的な算定が困難」として予想に織り込んでいません。エネルギー価格が上昇すれば、コスト増で計画は下振れします。
  • 中国問題は解決していない:増益の前提は販売価格の引き上げですが、中国の安値輸出が続く限り、値上げの浸透には逆風が吹き続けます。

つまり「2.1倍」は会社の意志を込めた計画値であって、確定した未来ではない。ここを冷静に見る必要があります。

バリュエーション:指標面では歴史的な割安圏

一方で、株価指標を見ると別の景色が見えてきます。

指標 水準(株価1,613円ベース) 評価
予想PER 約6.8倍 市場平均の半分以下
PBR 約0.39倍 解散価値の4割。過去レンジ(0.21〜1.68倍)の下方
予想配当利回り 4.96% 東証プライムでも上位クラス
自己資本比率 44.4% 財務は当面の懸念なし
アナリスト平均目標株価 1,962円 現値から約+22%

PBR0.39倍は、東証が是正を求める「PBR1倍割れ」どころの話ではありません。市場は「JFEの資産は帳簿の4割の価値しかない」と評価していることになります。2027年3月期の配当性向は33.9%まで低下する計画なので、計画通りなら80円配当の持続性はむしろ高まります

割安なのは間違いない。問題は「割安なまま放置される期間がどれだけ続くか」です。いわゆるバリュートラップのリスクですね。

シナリオ分析:1年後の損益を確率で考える

ここからは私の独自分析です。1年後(2027年6月頃)の株価を3つのシナリオに分け、主観確率を割り当てて期待値を計算しました。前提となるEPSは2027年3月期予想の約236円(配当80円÷配当性向33.9%から逆算)です。

シナリオ 確率 前提 想定株価 100株の損益(配当込み)
強気 25% 業績計画達成、鉄鋼市況の底打ち確認、PER8倍まで評価是正 約1,890円 ▲12,300円(含み損大幅縮小)
中立 50% 計画はやや未達も増益は確保、株価は安値圏でのレンジ推移 1,550〜1,750円 ▲26,300〜▲46,300円(配当8,000円込み)
弱気 25% 中東情勢悪化や中国輸出継続で下方修正、再減配観測 約1,300円 ▲71,300円(損失拡大)

強気シナリオの1,890円はPER8倍×EPS236円、弱気シナリオの1,300円はPBR約0.33倍に相当します。リーマンショック後の最低PBRが0.21倍なので、弱気でもまだ下があり得る点は正直に書いておきます。

期待値を単純計算すると、1年後の想定損益は約▲39,000円(強気▲12,300円×25%+中立の中央値▲36,300円×50%+弱気▲71,300円×25%)。現在の▲48,000円より約9,000円改善する計算です。配当8,000円の寄与が大きく、期待値ベースでは「今すぐ投げ売りするほどではない」という結果になりました。

注意

上記の確率は私の主観であり、シナリオの置き方次第で結論は変わります。特に弱気シナリオの確率を35%以上に見る方なら、期待値はマイナス方向に大きく傾きます。ご自身の相場観で確率を入れ替えて計算してみてください。

損切りか保有か:判断のフレームワーク

シナリオ分析を踏まえ、私は次の3つの問いで判断を整理しました。含み損銘柄全般に使えるフレームだと思います。

  1. 下落理由は構造的か、循環的か? → 中国の過剰生産は構造問題だが、鉄鋼業はもともと景気循環産業。4Q黒字浮上と来期増益計画から、循環の底は近いと判断。
  2. 今この株を持っていないとして、現値で新規に買うか? → PER6.8倍・利回り5%弱なら「打診買いはあり得る」水準。「絶対買わない」なら即損切りすべきだが、そうではない。
  3. 撤退ラインを決められるか? → 決められないなら塩漬け一直線。私は決めました(後述)。

一方で、損切りすべきケースも明確にしておきます。次のいずれかに当てはまるなら、私は撤退が合理的だと考えます。

  • 資金に他の有望な使い道があり、機会損失の方が大きい場合
  • 2027年3月期の中間決算で増益計画が崩れ、再減配の観測が出た場合
  • 含み損がストレスで投資判断全体が歪んでいる場合(これは数字以前の問題です)

アランの結論:撤退ライン付きで保有継続

以上を踏まえた私の結論です。

私の方針(2026年6月時点)

  • 保有継続。配当80円(年8,000円)を受け取りながら2027年3月期の進捗を確認する
  • 撤退ライン:終値で1,450円割れ。年初来安値を明確に割り込んだら、シナリオが崩れたと判断して機械的に損切り(追加損失の許容額は約▲16,300円)
  • 利確・縮小ライン:1,900円台。強気シナリオ達成圏では、買値回復に固執せずポジション縮小も検討する
  • ナンピン買いはしない。中国問題が構造要因である以上、下値で買い増す根拠が弱い

ポイントは「買値の2,093円を基準にしない」ことです。買値はマーケットにとって何の意味も持ちません。意味があるのは「ここから先、上がる確率と下がる確率のどちらが高いか」だけ。私は期待値プラスと判断したので持ちますが、撤退ラインを破ったら未練なく切ります。

正直に言えば、配当100円の前提が崩れた時点(減配発表時)に一度ポジションを見直すべきでした。「高配当だから」と思考停止していたのは事実で、この▲48,000円は授業料だと思っています。同じ失敗をしないために、この記事を自分への戒めとしても残しておきます。

※本記事は私個人の投資記録と分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

それでは。

参考リンク

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